拠点形成の目的・概要

拠点形成の目的

高度に機械化・情報化が進む社会では,人間の脳機能全体の特性を顧みることなく,特定の利便性の追求の下に技術開発が進んでいる.ネットワークによる大量の情報流通や,自動車や携帯電話による究極的ともいえる利便性向上はまさにそのような例である.このような,現代社会は,子供から成人,高齢者に至る人間の脳に過大な負担をかけ,その人間らしさを奪う危険性をはらんでいる.

この現代社会の発展を健全な方向に導くためには,人間の脳の高次機能(=認知脳)の理解に基づきながら,生体計測機能により,人間に情報提供する情報・機械システムの開発が必要となる. 本拠点では,医学系研究科と連携機関の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)が誇る世界的な脳研究と脳‐機械インターフェースを仲介に,人間科学研究科による日本最大規模の認知心理学研究と,工学研究科,基礎工学研究科およびATRによる世界的な人間指向のロボット研究を結びつけることで,脳の高次機能の理解に基づくロボット学を介して人間に親和的な情報・機械システムを創成する.これを認知脳システム学と呼び,文理融合型の新たな教育研究分野を確立するとともに,大学院における教育・研究を新しい時代に適応するよう再編する.

大阪大学における人間指向のロボット研究は,従来の機械的なロボットの開発ではなく,人間理解に根ざした,人間の知能や発達を理解するための研究であり,そこでは,人間と機械の関わりにおける基本問題を扱ってきた.一方,認知科学は生体情報測定機器や動作・視線検出装置など新たなツールと共に発展してきたが,近年ではそのツールとして,ロボットやセンサネットワークが注目されている.これらの背景のもと,本拠点では,人間理解の研究を展開しながら,人間が適応しやすい,人間に優しい機械システムを実現するためのロボット研究と認知科学が融合した教育・研究を展開する. そしてこれらに,脳研究が加わることで,認知科学研究が扱う高次脳機能をより精緻に探求できると共に,ロボット研究においても,脳科学・認知科学的知見に基づく,より人間に適応したシステムを実現でき,現代社会における問題を解決する未来の工学システムの設計指針を具体的な形で提案できる.
PH1

拠点形成計画の概要

本拠点では,上記の目的に向けた5年間における教育研究活動の場として,4つの融合教育研究グループを構成する.認知脳システム学は拠点全体の研究活動を包含するもので,科学哲学的考察を通して教育研究の方向性を見定め,その学問体系の確立を目指す.認知科学・脳科学融合研究は,脳機能イメージング技術を基に,従来の認知心理学で扱われてきた記憶や推論などの高次脳機能(認知脳)の解明に迫る.脳科学・工学融合研究では,人と情報・機械を直接結びつける,ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の研究に取り組む.認知脳システム開発研究では,認知脳研究とBMI研究の成果を基に,人間の脳への負担を軽減する未来の情報・機械システムのプロトタイプを開発する.

教育研究グループ

一方,これらの融合研究は,未来社会を支える研究者・技術者・経営者の育成を目指す教育プログラムによって支えられる.このプログラムは,世界的なロボット研究と脳研究をもとに構築してきた国際連携上で展開されるキャラバン,融合領域研究の方法論を教示する創起塾,学生との対話を密にする創成塾を特徴として持つ.

教育プログラム

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