玉川大学との合同ワークショップ開催のお知らせ

[2012.12.11]


本GCOEと玉川大学GCOE「社会に生きる心の創成」は2013年1月に合同ワークショップを開催いたします。詳細は下記の通りです。

・日時 1月19日(土)11:00 ~ 20日(日)12:00
・場所 ヒルトン名古屋(愛知県名古屋市)
・学生参加費 1,500円(ただし、交通費、宿泊費は別途支給されます。)
・一般参加費 3,000円
・講演予定者:
– 新井 健生(大阪大学基礎工学研究科 教授)
– 吉峰 俊樹(大阪大学医学系研究科 教授)
– 不二門 尚(大阪大学医学系研究科 教授)
– 礒村 宜和(玉川大学脳科学研究所 教授)
– 岡田 浩之(玉川大学脳科学研究所 教授)
– 松元 健二(玉川大学脳科学研究所 教授)
– 高橋 英彦(玉川大学 GCOE研究協力者/京都大学大学院医学研究科 准教授)

—スケジュール—
【1月19日】
11:00 オープニング:石黒 浩 (大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)
11:30 オープニング:坂上 雅道 (玉川大学脳科学研究所 教授)
12:00 昼食
13:00 研究発表1:成岡 健一 (大阪大学大学院工学研究科 特任研究員)
13:20 研究発表2:横山 修 (玉川大学脳科学研究所 グローバルCOE研究員)
13:40 研究発表3:上出 寛子 (大阪大学大学院基礎工学研究科 特任助教)
14:00 研究発表4:高橋 英之 (玉川大学脳科学研究所 グローバルCOE研究員)
14:20 コーヒーブレイク
14:50 講演1:礒村 宜和 (玉川大学脳科学研究所 教授)
15:30 講演2:新井 健生 (大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)
16:10 講演3:岡田 浩之 (玉川大学脳科学研究所 教授)
16:50 講演4:吉峰 俊樹 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)
17:30 懇親会準備・ポスター貼り付け
18:10 懇親会&ポスターセッション

【1月20日】
9:15 研究発表5:長井 志江 (大阪大学大学院工学研究科 特任准教授)
9:45 講演5:高橋 英彦 (玉川大学 GCOE研究協力者/京都大学大学院医学研究科 准教授)
10:25 休憩
10:30 講演6:松元 健二 (玉川大学脳科学研究所 教授)
11:10 講演7:不二門 尚 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)
11:50 クロージング:浅田 稔 (大阪大学大学院工学研究科 教授)

—講演内容—

講演1. 手を動かす大脳皮質回路の仕組み

礒村 宜和 (玉川大学脳科学研究所 教授)

大脳皮質の運動野では,随意運動の発現に伴って神経細胞の発火活動の変化が観察されます.ところが,運動野内の興奮性の錐体細胞と抑制性の介在細胞が「運動指令」を形成する回路の仕組みについては未だに多くの謎に包まれています.従来の生理学的実験技術では,動物の行動中には記録細胞の細胞サブタイプや存在層を確定することさえ極めて困難でした.そこで,私たちは,頭部を固定したラットに前肢を使ったオペラント運動課題を効率よく学習させる行動実験装置を開発し,単一の神経細胞の発火活動を記録し可視化同定できる傍細胞(ジャクスタセルラー)記録法や複数の神経細胞の発火活動を同時に記録できるマルチニューロン記録法を組み合わせる研究手法を確立しました.そして,錐体細胞は機能的に多様な発火活動を示す一方,ファースト・スパイキング(FS)介在細胞の多くが運動発現中に強く活動すること,同じ機能の活動を示す神経細胞は各層に分布すること,異なる機能の活動を示す神経細胞の間でも同期的発火が観測されること,などを明らかにしました.また,同時に記録した局所フィールド電位を解析したところ,運動の保持(または準備)と実行の過程で,それぞれ遅いガンマ波と速いガンマ波が(弱いシータ波と絡んで)出現し,錐体細胞や介在細胞がガンマ波の位相特異的に発火することも見出しました.このように,私たちの研究室では,げっ歯類の運動発現を担う皮質内回路機構を行動学的および電気生理学的手法を活かして探っています.

講演2. マイクロロボティクスの生命科学への新たな挑戦
-新学術領域「超高速バイオアセンブラ」-

新井 健生 (大阪大学大学院基礎工学研究科 教授)

文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究において新領域「超高速バイオアセンブラ」(略称:バイオアセンブラ)が平成23年7月に認められ,5か年計画のプロジェクトとしてスタートしました.バイオアセンブラでは,これまで未踏のin vitro環境で機能する3次元細胞システムを構築する「バイオアセンブラ」の超高速計測操作手法と組織機能発現の原理を解明します.すなわち,生体から取り出した細胞の物理的特性を超高速で計測し,細胞システム構築に有用な細胞を分離する「細胞特性計測制御」,複雑な形状の3次元細胞システムを成型し組み立てる「3次元細胞システム構築」,作製された3次元細胞システムの増殖・分化誘導・形態形成制御と移植応答を解明し,in vivoでの機能解明と比較検証を行い再生医療への応用を図る「3次元細胞システム機能解明」の3つの研究項目を掲げています.これらの研究項目を有機的に連携させ,医工学的に有用な形態と働きを持つ人工的な3次元細胞システムの創生を目指しています.

講演3. 乳幼児のことばとコミュニケーションを科学する

岡田 浩之 (玉川大学脳科学研究所 教授)

乳幼児や我々大人にとってことばは,その知的活動支える最も重要な要素です.私たちはことばを使って考え,周りの人々とコミュニケーションを図り,複雑な社会を生きています.私たち,特に乳幼児にとってことばを獲得することは,生まれて初めて体験する知的大仕事(Bruner 1968)であり,その過程は単に単語を覚え,発話し,コミュニケーションするという道具としての単純な役割のみならず,社会を構成する一員としての役割を担っていくためのプロセスとして重要です.
言語発達の従来研究では,発達段階における獲得語彙を定性的あるいは定量的に分析する,いわゆることばの獲得過程における様々な現状に注目していました.それに対し,私たちの研究グループでは言語獲得以前の人間,つまり,ことばを話す以前の赤ちゃんが,ことばに関してどのような能力を持っているかに注目しています.発表では私たちの研究室で行われている,ことばに関する様々な研究結果から,これまでに明らかになってきた,赤ちゃんにとってのことばの役割や,コミュニケーションにおけることばの重要性を様々な視点から見ていきたいと思います.

講演4. 「考え」だけで機械を動かす
-「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」

吉峰 俊樹 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)

身体を動かそうとするときの脳情報を解読すると,どのような運動を企図しているのか言い当てることができます.大阪大学を中心としたグループは,この技術を応用して「考え」だけでコンピュータやロボットなどの機械を操作できる「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」の開発を進めています.解読する脳情報として,侵襲的に記録した皮質脳波や非侵襲的に記録した脳磁図を用いますが,これらを解析する段階で随意運動の脳内機構についていくつかの新たな知見が得られてきました.
この技術は医療・介護・福祉方面での実用化をめざしています.まずは「閉じ込め症候群」など,重度の運動機能障害をきたした患者さんを対象としてコミュニケ―ションや運動機能を補助することを目指していますが,発展の方向によってはヒトや人間社会の未来の姿にも深く関わる可能性が考えられます.

講演5. 情動的意思決定の脳イメージング

高橋 英彦 (玉川大学 GCOE研究協力者/京都大学大学院医学研究科 准教授)

fMRIを中心とした非侵襲的脳イメージングの流布や実験パラダイムの精緻化により,特に,情動,意思決定,意識といったこれまでどちらかというと心理学,経済学,哲学といった人文社会分野が扱っていた研究テーマに生物学・医学・工学も参入し,学際的な研究が推進され,なかでも神経経済学と呼ばれる研究領域が興隆してきた.古典的な経済学で,意思決定者は個人の利得を最大限になるように“合理的”に振舞うと想定してきており,経済政策や社会政策もこの伝統的な考え方を中心に考えられてきた.しかし,実際の人間の行動は,必ずしも“合理的”ではなく,時に宝くじを購入したり,寄付や協力行為を行ったりする.このように血の通った人間においては情動・同情・モラル・使命感なども意思決定に重要な役割を担っているということが行動経済学で実証的に示され,その神経基盤も神経経済学が明らかにしてきた.神経経済学の今後の方向性として,神経化学(薬理),精神科,人工知能(ロボット)との融合が考えられる.本発表では筆者自身の専門でもある神経化学(薬理),精神科と神経経済学との融合の研究を進めており,その一部を紹介する.と同時に,このワークショップにおいて人工知能(ロボット)との融合の可能性についても議論したい.

講演6. “社会規範”と“自由”に対して脳はどのように反応するか?

松元 健二 (玉川大学脳科学研究所 教授)

人間は社会的動物であり,私たちの心は社会生活を送る上での共通ルール(社会規範)から自由ではありえません.その一方で人間は,自由の獲得を求めて歴史上さまざまな闘争を繰り返してもきました.社会に生きる人間の心を考える上で,社会規範と自由に対して,私たちの脳がどのように反応するかという問題は,非常に重要です.
社会規範に従うことは,例えそれが法律によって明文化されていなくても,社会生活を送る上で大事です.しかし,社会規範の中には必ずしも納得のできないものもしばしばあります.そこで私たちは,社会規範にどの程度賛成しているかという態度が,脳のどこで表現されているかを調べました.また,その社会規範に対する態度を変えるような説得を受けたとき,脳がどのように反応するかも調べました.その研究結果について報告します.
自由にはさまざまな自由がありますが,そのもっとも単純化された形態として,選択肢の数が考えられます.そこで私たちは,選択肢の数の多さが,脳の中でどのように価値づけられているかを調べました.また,選択肢の数が他人と同等であることが,そのコミュニティの公平性において重要ですので,選択肢の数の同等性が脳の中でどのように価値づけられているかについても調べました.その研究結果についても報告します.
従来は人文社会科学の対象であった“社会規範”や“自由”が,個人の脳内でどのように処理されているかについて自然科学的に理解を深めることは,個人を尊重したよりよい社会制度を考えるヒントになるかもしれません.

講演7. 感覚系のBMIとしての人工網膜と視覚リハビリテーション

不二門 尚 (大阪大学大学院医学系研究科 教授)

感覚系のBMIは,感覚器のセンサーとなる細胞(内耳有毛細胞,視細胞)が障害された患者さんに対して,感覚系の2次ニューロン(螺旋神経節細胞,網膜神経節細胞)を電気的に刺激して,感覚を回復させる技術である.聴覚系では人工内耳がすでに実用化されている.視覚系のBMIとしては,電極を網膜に設置する人工網膜と,大脳視覚野に設置する皮質刺激型人工視覚があるが,共に複数の点状の擬似光覚(Phosphene)を誘発し,リハビリテーションを行うことにより,視覚が実用的なものとなる.人工網膜では,網膜上に電極を置く方式で米国のグループが先行し,網膜下に電極を置く方式でドイツのグループが先行している.われわれは,網膜に直接電極が接触しない“脈絡膜上―経網膜刺激方式(STS方式)を独自に開発した.この方式は,網膜への損傷がなく,安全な点が特徴である.先行グループの成功例では,アルファベットを認識できるところまで来ている.われわれは,9極のSTS人工網膜による中期臨床試験を,2例の進行した網膜色素変性症の患者さんに対して行った.その結果,箸箱をCCDカメラで捉え,手で掴むことができることが可能であることが示された.現在電極数を49極に増やして,文字が認識できる解像力を持つ第2世代人工網膜を開発中である.超低視力者は指先が認識できないため,視覚feed backがかからず,定位の誤認を生じやすい.人工網膜のリハビリテーション法の1つとして,音声の補助のついたeye-hand coordinationの訓練装置を開発し,現在擬似的な低視力者に対して検討を加えている.

—研究発表—

研究発表1. 成岡 健一 (大阪大学大学院工学研究科 特任研究員)
筋骨格ヒューマノイドロボットの開発を通じたロコモーションの構成的理解
Constructive study on locomotion through the development of musculoskeletal humanoid robots

研究発表2. 横山 修 (玉川大学脳科学研究所 グローバルCOE研究員)
サル前頭前野のニューロン集団の活動から選択を読み取る
Decoding choice from neural activities in monkey prefrontal cortex

研究発表3. 上出 寛子 (大阪大学大学院基礎工学研究科 特任助教)
ロボットと人間の社会的比較
Social comparison between human and a robot

研究発表4. 高橋 英之 (玉川大学脳科学研究所 グローバルCOE研究員)
人間-ロボットの競合ゲームにおける多次元的な心の知覚の神経基盤のfMRIによる検討
Neural correlates of multidimensional mind perceptions in human-robot competitive game. -fMRI study-

研究発表5. 長井 志江 (大阪大学大学院工学研究科 特任准教授)
発達の鍵となる随伴性:自他間の随伴性に関する解析的・構成的研究
Contingency as a key for development: Analysis and modeling of self-other contingency

—ポスター発表—

—大阪大学

  • Christian Penaloza (基礎工学研究科 D2)
    Robot attention learning in unconstrained environment
  • Theparit Peerasathien (基礎工学研究科 D1)
    Geminoid F in Namba for a department store advertisement
  • 清水 俊彦 (基礎工学研究科 D3)
    変化順序に基づく接触状況の異なる全身運動の模倣学習
    Imitation learning for humanoid whole body motion based on phase transfer sequence in different contact conditions
  • Fabio Dalla Libera (基礎工学研究科 Pst. DC)
    物理的動作教示に向けた能動的行動
    Teaching by touching: active movements in kinesthetic motion teaching
  • 森 裕紀 (工学研究科 助教)
    Analysis of developmental order in computer simulations of behavioral development of the human fetuses
  • Jimmy Baraglia (工学研究科 D1)
    協調動作創発のための神経回路システム
    A neuromorphic system for the emergence of cooperative behaviours
  • 笹本 勇輝 (工学研究科 D3)
    対乳児発話の発生原理解明を目指して~乳児様発声ロボットの試作~
    Towards understanding the origin of infant directed speech: building infant-like vocal robot
  • 藤野 陽生 (人間科学研究科 D2)
    動作法とにおける身体の意識の仕方と動きの制御
    Body awareness and control of movement in Dohsa-hou
  • 安達 友紀 (人間科学研究科 D3)
    慢性痛に対する催眠の効果性についてのメタ分析
    Meta-analysis of the effectiveness of hypnosis for chronic pain
  • 佐古 仁志 (人間科学研究科 D3)
    パースの意味のシステムとミラーメカニズム
    Peirce’s system of meaning and the mirror mechanism
  • 橘 真一 (人間科学研究科 D3)
    脳とポイエーシス
    Brain and Poiēsis
  • 池田 尊司 (人間科学研究科 特任助教)
    色彩調和の神経基盤
    Neural basis of color harmony
  • 肥後 克己 (人間科学研究科 M2)
    眼球運動によるコルシブロック課題遂行時のワーキングメモリ研究
    Cognitive process required for the Corsi Block Task: An eye movements study
  • 遠藤 香織 (人間科学研究科 D3)
    リーディングスパンテストにおけるワーキングメモリの年齢差
    Age differences in working memory as measured by Japanese reading span test
  • 源 健宏 (人間科学研究科 特任助教)
    感情価ベースの注意の容量制約:fMRI研究
    Valence-based attentional capacity for emotional information: An fMRI Study

—玉川大学

  • 宮崎 美智子 (脳科学研究所 GCOE研究員)
    8カ月児における行為の主体性:乳児期の行為主体感の定量的評価に向けて
    Explicit intentionality of self-generated action in 8-month-olds: Towards empirical estimation of sense of agency in infancy
  • 小口 峰樹 (脳科学研究所 GCOE研究員)
    二重視覚システム説と感覚運動アプローチ
    Two visual systems theory and the sensorimotor approach
  • 森 文彦 (脳科学研究所 科研費研究員)
    周辺視ディスプレイと振動装置を利用した歩行者の誘導
    Pedestrian guidance using peripheral-vision-display and vibratory device
  • 村井 千寿子 (脳科学研究所 GCOE研究員)
    チンパンジーにおける生物・非生物の区別
    Animate-inanimate distinction in chimpanzees
  • 齊木 愛希子 (脳情報研究科 D2)
    運動の実行・非実行に関わるラット一次・二次運動野のマルチニューロン活動
    Ensemble spiking activity in rat primary and secondary motor cortices during execution/non-execution of voluntary movement
  • 范 宏偉 (脳情報研究科 D3)
    外側前頭前野と線条体は異なる推論を用いて報酬を予測する
    Neurons in LPFC and striatum can predict reward based on different types of inference
  • 野々村 聡 (脳情報研究科 D2)
    報酬価値の比較に関わる吻側線条体の神経活動
    Neural activities in the rostral striatum during comparison of reward values
  • 李 楊 (北海道大学文学研究科・日本学術振興会 D2)
    不公平提案の拒否・協力行動・互恵行動とテストステロン
    Rejection of unfair offer, cooperation, reciprocity and Testosteron
  • 三宅 雄大 (岐阜大学 M)
    アンドロイドは人間になれるか – 繰り返し非ゼロ和ゲームを用いての検証
    Can androids become human? – An experimental investigation with non-zero-sum game

 

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