第58回創成塾

[2013.01.10]


2013年1月15日(火) 18:00-20:00 吹田キャンパス 銀杏会館大会議室D,Eにて第58回創成塾を開催致します.

内容:
18:00-19:00 金井良太(サセックス大学)
19:00-19:10 質疑応答
19:10-20:00 パネルディスカッション

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講演1:金井良太(サセックス大学)
「神経科学によるハードプロブレムとクオリアへのアプローチ」

「赤の赤らしさ」や「痛みに痛さ」などといった意識的体験が、脳の神経の電気化学的活動から、どのようにして生まれてきて、そもそもなぜ存在するのかという問題は、生物学の直面する問題の中でも格段の超難問といえるだろう。脳を研究することで、網膜にあたった光がどのような神経活動を引き起こして、視床を通り、視覚野へと達し、最終的には言語と係る部位へと達して、「赤が見えた」という報告を引き起こす過程はいつか解明されるかもしれない。しかし、それでも、なぜそのような神経活動に、現象的(主観的)な感覚が伴うのかは、一向に不思議なままだろう。これは、「意識のハードプロブレム」と哲学者のデイヴィッド・チャルマーズが名付けた問題である。主観的な感覚の持つ独特の「~らしさ」という意識の現象的側面は、「クオリア」と呼ばれている。語源はラテン語の、「どのような」という意味で使われていたQualiaに由来する。本講演では、我々がクオリアについて議論する際に、暗黙のうちに想定している概念を整理し、どのように定義することが、神経科学によるクオリア研究にとって有意義なのかについて議論する。その議論に基づいて、クオリアの定義として、「分解不可能な現象的意識の最小単位」を提案する。ここでのキーワードは、「分解不可能性」であるが、この概念は、脳内での情報のバインディングという観点から定義する。そして、この定義を採用することで、知覚が生じた時に、それが独立のクオリアなのか、クオリアの組み合わせなのかの区別をつけることができ、さらにニューロンのどのようなネットワークの形成がクオリアにとって重要なのか明らかにしてくれるだろう。最後に、現存する実証研究の中で、感覚置換やメタマーなどの研究をクオリアとの関連を明らかにしながら紹介する。

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