第63回創成塾

[2013.05.29]


2013年6月4日(火) 18:00-20:00 吹田キャンパス 人間科学研究科 東303にて第63回創成塾を開催致します.

内容:
18:00-18:50 源健宏(大阪大学大学院人間科学研究科 特任助教)
18:50-19:00 Q&A
19:00-19:30 肥後克己(大阪大学大学院人間科学研究科 D1)
19:30-19:40 Q&A
19:40-20:00 学生とのパネルディスカッション

吹田キャンパス 人間科学研究科 東303

講演1:源健宏(大阪大学大学院人間科学研究科 特任助教)
「感情情報に対する注意の容量制約とその神経基盤」

近年の視覚的注意の研究では,注意資源の容量は,視覚情報のカテゴリ(顔や家)により規定されることが示されている。それでは,脅威や報酬といった我々の生存と密接に関わる感情的情報に対する注意資源の容量は,どのような要素により規定されているのだろうか。感情は,複数の基礎感情から構成されると主張する理論もあるが,次元モデルによると,感情価と覚醒度により規定されると考えられている。そこで,本研究は,感情価が感情情報の注意資源を規定する要素であると仮定し,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いてこの仮説の検討をおこなった。実験には,感情ストループ課題を使用し,感情価をもつ単語の意味を無視しながら単語の色の判断を求めた。同時に,感情情報を持つ画像刺激を保持するワーキングメモリ課題を実施し,感情価の操作が,感情ストループ課題に与える影響を検討した。感情情報に対する注意資源の容量が感情価により規定されるのであれば,感情的ワーキングメモリ負荷の増加は,感情情報の注意資源を枯渇させ,その結果,感情ストループの効果を減衰させると考えることができる。感情ストループによる干渉効果は,腹側前部帯状回の活動強度と関係することを踏まえると,感情的認知負荷の増加に伴い当該脳領域の活動が低下することが予想される。実験の結果,負の感情的認知負荷の増加に応じて,負の感情ストループ課題遂行時の腹側前部帯状回の活動の低下が認められた。一方,生の感情ストループ課題遂行時では,そのような活動の低下は認められなかった。この結果は,負の感情情報に対する注意資源が,正の感情情報に対するそれと独立することを示すものである。また,感情処理と密接に関わる扁桃体では,負の認知負荷の下で負の感情ストループ課題を遂行する条件において活動の増加が認められた。この結果から,負の感情情報に対する注意資源は扁桃体の活動に依存することが示された。本研究結果は,我々の意識的感情状態の生成プロセスにおいて,このような注意資源の性質が重要な役割を担う可能性を示唆している。

講演2:肥後克己(大阪大学大学院人間科学研究科 D1)
「眼球運動計測による視空間性ワーキングメモリ課題遂行に関わる認知プロセスの検討」

我々にとって空間的位置の記憶は,例えば地図を読むといった場面で重要となる.地図を読むといった行動のための記憶は,ワーキングメモリというシステムによって支えられている.空間性ワーキングメモリの機能は,コルシブロック課題と呼ばれる課題によって測定される.コルシブロック課題にはランダムに並んだ9つのブロックが用いられる.実験者はこのブロックを一つずつ順番に指示していき,実験参加者はその位置と順番を記憶するという課題である.この課題は広く用いられているものであるが,その背景にどのような認知プロセスが働いているのかは未だはっきりしていない.本発表では,この課題の遂行にどのようなワーキングメモリシステムが関与しているのか,また,空間性記憶課題における眼球運動の果たす役割という観点から,空間性ワーキングメモリの機能について論じる.

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